新設:2012-12-10
更新:2022-11-13
東京湾で活躍する 按針丸・按針-パイロットボート
撮影:2012-12-04
横浜港大桟橋の根元(山下公園側の山下町1-2)にあるパイロットビル1階を拠点とする協和海運(株)は、同社のパイロットボート(水先艇)に昭和32年(1957)以降、「按針/按針丸」の船名を付け、2012年9月4日現在、按針丸(7隻)と按針(2隻)の合計9隻を使っている。
「按針」には「水先案内」の意味があり、さらに 400有余年前に日本に初めて来たイギリス人で 徳川家康に仕えた海の男・三浦按針(ウイリアム・アダムス)に敬意を表したもの。
ここでいう「パイロット」とは、水先人(みずさきにん)の英名(Pilot)であって、多数の船舶が行き交う港や海峡、内海の環境に精通することが難しい外航船や内航船の船長を補助し、船舶を安全かつ効率的に導く専門家を指し、一般的には「水先案内人」と呼ばれている。
また、「パイロットボート」とは、水先案内人を必要とする船舶に水先案内人を送り迎えする専用船(水先艇)であって、「パイロット」の乗船を示す「水先旗・H旗(赤色と白色でタテ割りされた国際信号旗)」を掲げている。
「水先」および「按針」の同義語的な言葉として、船が安全に航行できるよう河(川)や海に杭を刺して水路を示す「澪標(みを(お)つくし)」があり、万葉集でも使われている。
「澪(みお)」は「水尾」=「水緒」=「水脈」の意味で、海岸近くで船が安全に通れる水路をいい、「つ」は雅語の助詞で「の」の意。
「くし」は「串」で「杭」のことを「串」と呼んだもの。「澪杭(みをぐい)」や「澪木(みをぎ)」と呼ぶことがあるという。
「みをつくし」は、歌では「身を尽くし」の掛詞として用いられ、「源氏物語」第十四帳の巻名としても使われている。小倉百人一首には「みをつくし」を用いた歌が2首収められている。
以上 2012-12-04に 協和海運(株)成澤五郎取締役から教示を受けたことなどを基に記した。